韓国の「ジャン」とは?コチュジャンだけではない発酵調味料の世界

韓国料理に欠かせないものと聞いて、何を思い浮かべますか?

キムチ、焼き肉、ビビンバ、チヂミ、トッポッキ。

さまざまな料理がありますが、その味を支えているのが「ジャン」と呼ばれる調味料です。

日本でよく知られているのは、赤くて辛いコチュジャンでしょう。

けれども、韓国のジャンはコチュジャンだけではありません。

大豆を発酵させて作るテンジャンやカンジャンをはじめ、複数の調味料を合わせて作るサムジャンなど、さまざまなジャンが日々の料理に使われています。

韓国料理というと「辛い料理」という印象を持たれがちですが、その味の土台にあるのは、辛さだけではありません。

発酵によって生まれる旨みと香り、そして、それぞれの家庭で受け継がれてきた「わが家の味」があります。

今回は、韓国の食卓に欠かせない「ジャン」の世界をご紹介します。

そもそも「ジャン」とは?

「ジャン」は、韓国料理に使われる発酵調味料を表す言葉です。

代表的なものに、

・テンジャン
・カンジャン
・コチュジャン

があります。

テンジャンは大豆を発酵させた味噌のような調味料、カンジャンは韓国の醤油、コチュジャンは唐辛子を使った発酵調味料です。

どれも、韓国料理の味を作るために欠かせません。

日本の家庭に味噌や醤油があるように、韓国の家庭にもジャンがあります。

スープや鍋、炒め物、和え物、煮物、漬けだれなど、さまざまな料理に使われています。

ひとさじ加えるだけで、塩味だけではない深みと旨みが生まれます。

ジャンは、料理に味をつけるだけのものではありません。

韓国の食卓そのものを支えてきた、発酵の知恵なのです。

テンジャン|韓国料理の土台となる大豆の発酵調味料

テンジャンは、大豆を発酵させて作る、韓国の伝統的な調味料です。

見た目は日本の味噌に似ていますが、香りや風味には違いがあります。

昔ながらのテンジャン作りでは、煮た大豆をつぶして「メジュ」と呼ばれる塊を作ります。

それを乾燥、発酵させた後、塩水に漬けてさらに熟成させます。

熟成後、固形部分を取り出して発酵させたものがテンジャンになります。

テンジャンは、テンジャンチゲをはじめ、スープ、和え物、炒め物、つけだれなどに使われます。

しっかりとした香りと塩味があり、野菜、豆腐、肉、魚介など、さまざまな食材とよく合います。

日本の味噌汁のように、家庭によって味わいが違うのも特徴です。

使う大豆や塩、作る季節、発酵させる場所や期間によって、香りも味も変わります。

カンジャン|料理に旨みを加える韓国の醤油

カンジャンは、韓国で使われる醤油です。

テンジャンと同じように、メジュと塩水から作られます。

メジュを塩水に漬けて熟成させた後、固形部分と液体部分に分けます。

固形部分はテンジャンに、液体部分はカンジャンになります。

つまり、伝統的な作り方では、テンジャンとカンジャンは同じ仕込みから生まれます。

日本の味噌と醤油も大豆を原料とする発酵調味料ですが、韓国ではテンジャンとカンジャンが、より直接的な関係にあるのです。

カンジャンは、煮物、スープ、炒め物、和え物、肉の下味などに使われます。

プルコギの甘辛い味付けにも欠かせません。

日本の醤油と同じ感覚で使えるものもありますが、カンジャンには種類があり、スープに向くもの、煮物や炒め物に向くものなど、料理によって使い分けられています。

コチュジャン|辛さだけではない、甘みと旨みの発酵調味料

コチュジャンは、唐辛子を使った赤い発酵調味料です。

日本では「辛みそ」と説明されることがありますが、ただ辛いだけの調味料ではありません。

唐辛子の辛さに、穀物由来の甘み、大豆の旨み、発酵による複雑な風味が重なっています。

ビビンバ、トッポッキ、炒め物、和え物、鍋物など、さまざまな韓国料理に使われます。

コチュジャンをそのまま入れることもありますが、醤油、酢、砂糖、ごま油、にんにくなどを合わせ、料理に合ったたれにして使うことも多くあります。

同じコチュジャンを使っても、合わせる調味料の割合によって、甘くなったり、酸味が加わったり、辛さが際立ったりします。

韓国料理のおいしさは、コチュジャンの辛さだけではなく、複数の味を重ねることから生まれているのです。

サムジャン|包んで食べる料理に欠かせない合わせジャン

サムジャンの「サム」は、包むという意味です。

焼いた肉やごはんを、サンチュやえごまの葉で包んで食べるときに添えるジャンが、サムジャンです。

一般的には、テンジャンやコチュジャンをベースに、にんにく、ごま油、ごま、甘みなどを加えて作ります。

テンジャンの旨みとコチュジャンの辛みが合わさり、肉や野菜のおいしさを引き立てます。

市販品もありますが、家庭で好みに合わせて作ることもできます。

辛めが好きな家庭、甘めが好きな家庭、にんにくをしっかり利かせる家庭など、その味わいはさまざまです。

サムジャンは、焼き肉だけではなく、生野菜につけたり、蒸した野菜や豆腐に添えたりしてもおいしくいただけます。

「ジャン」と名前がつくものは、すべて同じではありません

ここで少し注意したいのが、「ジャン」という言葉の使われ方です。

テンジャン、カンジャン、コチュジャンのように、発酵させて作る伝統的なジャンがあります。

一方、サムジャンのように、複数のジャンや調味料を合わせて作る「合わせジャン」もあります。

また、家庭料理では、料理に使いやすいように醤油、唐辛子、にんにく、ごま油、甘みなどを混ぜ合わせたたれを、「〇〇ジャン」と呼ぶこともあります。

そのため、「ジャン」と名前がついていても、すべてが同じ方法で発酵させたものとは限りません。

長い時間をかけて発酵、熟成させるジャンもあれば、発酵調味料を土台にして、その場で混ぜ合わせて作るジャンもあります。

この幅広さも、韓国料理のおもしろさのひとつです。

家庭ごとに違う「わが家のジャン」

かつて韓国では、多くの家庭が自分たちでジャンを仕込んでいました。

家の外には、オンギと呼ばれる甕が並ぶ「チャントッテ」があり、その中でテンジャンやカンジャン、コチュジャンなどが熟成されていました。

同じ材料を使っていても、家によって味は変わります。

大豆や塩の種類、材料の割合、仕込む時期、気候、甕の置き場所、熟成期間。

そして、代々受け継がれてきた作り方。

それぞれの違いが重なり、その家だけの味が作られていきます。

日本の味噌汁の味が家庭によって違うように、韓国にも「わが家のジャン」があります。

長く使い続けているカンジャンを少しずつ新しいものに継ぎ足し、家の料理の味を守ってきた家庭もあります。

ジャンは調味料であると同時に、家族の歴史や記憶を受け継ぐ存在でもあるのです。

韓国料理は「辛さ」ではなく、味の重なりを楽しむ料理

韓国料理を作るとき、唐辛子やコチュジャンをたくさん入れれば、本格的な味になるわけではありません。

韓国料理のおいしさは、

・発酵による旨み
・醤油や塩の塩味
・唐辛子の辛み
・砂糖や果物の甘み
・酢の酸味
・にんにくやねぎの香り
・ごま油やごまのコク

といった味や香りが、バランスよく重なることで生まれます。

その中心にあるのが、ジャンです。

ジャンの特徴を知り、料理によって使い分けられるようになると、韓国料理は「辛い料理」から、発酵と旨みを楽しむ料理へと見え方が変わってきます。

冷蔵庫にひとつあると便利な「辛みジャン」

韓国料理を家庭で作るとき、毎回いくつもの調味料を量って混ぜるのは、少し大変です。

そこで便利なのが、あらかじめ調味料を合わせて作っておく「辛みジャン」です。

辛みジャンが冷蔵庫にあれば、

・野菜と和える
・肉や魚を漬け込む
・炒め物の味付けに使う
・豆腐や蒸し鶏にかける
・鍋やスープの味を調える

といった使い方ができます。

辛いものが苦手な方は唐辛子を控えめに、辛いものが好きな方は多めに。

自分や家族の好みに合わせて作れることも、手作りの良さです。

韓国の万能だれ3種を一緒に作りませんか?

あみだす発酵アカデミーでは、2026年7月25日(土)に、

「これさえあれば味が決まる!韓国万能だれ3種作りクラス」

を開催します。

今回作るのは、

・万能しょうゆ
・辛みジャン
・プルコギだれ

の3種類です。

それぞれのたれを実際に作り、完成したたれは瓶に入れてお持ち帰りいただきます。

たれの作り方だけではなく、それぞれを使った料理や活用方法もご紹介します。

クラスでは、3種類のたれを使ったランチもご用意します。

辛みジャンは、ご自分の好みに合わせて辛さを調整できますので、辛いものがあまり得意でない方にもご参加いただけます。

韓国料理が好きな方はもちろん、

「味付けがなかなか決まらない」
「忙しい日の料理をラクにしたい」
「発酵調味料をもっと料理に使いたい」

という方にもおすすめです。

冷蔵庫に手作りの万能だれがあれば、肉や野菜と組み合わせるだけで、毎日の料理がぐっと作りやすくなります。

韓国のジャン文化に触れながら、ご家庭で活躍する3種類の万能だれを一緒に作ってみませんか?